夏の「仮」日記

カリフォルニアの音大で、ジャズドラムを学ぶ人の日々の記録

アーティスト対エンターテイナー論

最近この暇さえあればこのことを考えてしまう、という自分の中で流行っているテーマをひとつ。

 

ミュージシャンと同じ意味として、アーティストっていう言葉が使われることってあると思うんですが、あれってどうなんでしょうか?

音楽は芸術=アートで、その芸術に携わっているからアーティストっていうのは理解できるんですけども、僕は自分のことをアーティストだと思えなくて。

 

なんでそういうことを考えるようになったかというと、最近授業の内容が技術や理論よりも、その奥にある音楽の普遍的価値について考えるものが多くなってきているんです。

 

で、よく先生に言われるのが

「君たちはアーティストとして、音楽で何を表現したいんだ?」

っていうやつ。

これを聞かれるたびに自分が表現したいことってなんなんだろうって考えるようになって、最終的に気づいたのは、

「僕、別に自分の中のものを表現したいわけじゃないんだ」ってこと。

 

僕の中でアートとは、

自分の考え、訴えたいもの、感情などをそれぞれの媒体で吐き出すことで、自らのアイデンティティを表現し、その表現によって、石を湖面に投じるように何かしらの波紋を作って人を動かすもの

だと思うんです(なげえけど)。つまり自分自身が作り手となって、0から1を生み出す作業をすることがアートだと思うんです。

 

一方僕はというと、なにか吐き出したい・表現したいと思うことがまず無いんです。自分の意志や考えがないというより、それらを表現することに魅力を感じない。

今の思いの丈を曲にしてみろって言われても、何も言いたいことが思いつかない・・・。

この前プロテストソングの授業で曲を書かないといけなくなったときも、周りの学生はみんなすぐに言いたいことが思いついてバンバンアイデアが出てくるのに、僕は全く出てこなかったんです。ニュースは見てるし、心が痛む報道もたくさん耳に入ってくるけど、それに対してなにかを「制作しよう」という気持ちにはならない。

 

失恋してめっちゃ辛くて、友達に「その気持ちを大事にして曲書いたら良いのが出来上がるんじゃない?」って言われても、いざ曲を作ろうと思ったら何も出てこない。

 

イデアが出てこないタイプの人間なんじゃないの?って思われそうですけど、そうでもないんですよね。

例えば映像の脚本を書いている友達がいて、彼が「俺は社会のこういう部分を切り取って、こういうことを表現したいんだ」って僕に伝えてくれたときは、

「じゃあこういう撮り方をしたら面白いよね」

「ここにこういうアイテムを隠しておいたらあとで伏線回収につながるよ」

「そのメッセージを伝えたいなら、こういう言葉を使ってみようよ」

ってバンバンアイデアが出てきたわけです。

 

 つまり、内にあるものを外に吐き出すことよりも、なにか別のところにで生まれた考えやメッセージを、自分の体や思考を媒体として何百倍にもして沢山の人に伝えることに魅力を感じるんですね。1を100や1000にする作業が好きなんです。

 

で、これってアーティストっていうジャンルよりも、エンターテイナーに近いんじゃないかな?って思うわけです。

台本とか、楽譜とか、すでに素材はあって、それを自分なりに料理して表現するのがエンターテイナーだと思うんですよ。

 

もちろんアーティスト兼エンターテイナーっていう人もいるんで、必ずしもどちらかに分類されるわけではないですけど、僕はエンターテイナーに振り切っているタイプの人間じゃないのかなって思っちゃうんですよね。

 

音楽で例えると、

作曲家・作詞家がアーティストで、その曲を演奏する人はエンターテイナー

つまりシンガーソングライターはアーティスト兼エンターテイナー

って感じ?これで伝わるでしょうか?

 

 

で、僕の場合はエンターテイナーなんだなって気づいた瞬間に、自分が将来やりたいことがはっきりしたんですね。こういう仕事はやりたいし、自分に向いてるけど、こういう仕事は続かないだろうなっていうのがわかってきたんです。

 

舞台でほかの役者さんやミュージシャンと一緒に作品を披露したい!

自分の曲をアルバムに収録してツアーを回るのはあんまり興味ない!

とはっきりと言わせていただきます。

 

みなさんは、どっちタイプなんでしょうね?多分この考え方って芸術やエンターテイメント以外の分野にも通ずる部分があると思うので、もし気になったら自己分析してみると自分の新たな魅力がみつかるかも?